メンブリージョとチーズの相性は抜群です。
スペインでは、チーズとジャムを合わせることも一般的なのですが、チーズと一緒に食べる定番のジャム(ゼリー状になったもの)がメンブリージョです。
本場スペインでのメンブリージョの食べ方と、よく食べられている定番のチーズとの組み合わせをご紹介します。
メンブリージョとは?
まずは、ちょっとメンブリージョについてのご紹介。
メンブリージョとは、日本で言うマルメロ。果物そのもののことを差します。
マルメロを砂糖と一緒に煮詰めて作ったゼリー状の物を、スペインではDulce de Membrillo(ドゥルセ・デ・メンブリージョ)やCarne de Membirillo(カルネ・デ・メンブリージョ)と呼んでいます。
マルメロはカリンとよく似た果物ですが、生のままでは渋みがある硬い果物なので、砂糖と一緒に煮込んで加工して食べるのが一般的です。
ご存じのゼリー状に固まったものも、メンブリージョと呼ばれる場合があります。そのくらい加工して用いることを主な使用目的とされている果物ってことなんですね。
ですので、今回はわかりやすいように、加工した物を「メンブリージョ」と呼んで参ります。
スペインの秋の味覚メンブリージョ
マルメロは秋に実る果物です。
ペクチンを多く含む果物なので、ジャムのようにして煮込んでいくとゼリー状に固まります。
加工も割と簡単で、長期保存がきくので、スペインでは秋の定番の味覚として家庭でもよくメンブリージョが作られます。
基本的には、マルメロを同量の砂糖と一緒に加熱して作るのですが、私たち日本人にとっては少し甘すぎますので、砂糖を減らして作ることもできます。
メンブリージョの作り方は、こちらのサイトで詳しく説明されています。
マルメロが手に入る用でしたら、ご家庭でも作ることができますのでお試しください。
手軽にメンブリージョを手に入れるなら、通販でも販売されています。
メンブリージョの歴史
メンブリージョ(マルメロ)の木は、中央アジアやコーカサス地方に自生していて、ギリシャ人とローマ人がスペインに持ち込んだとされています。
マルメロはその薬効で高く評価されていて、古代バビロンではすでに栽培されていたことが知られています。
甘く加工した物は、4世紀にはすでに作られていて、最初はマルメロと蜂蜜を煮詰めて作られていました。
秋に収穫し加工され、クリスマスに食べられるものとして、スペインで定番の味覚になっていったんですね。
メンブリージョとチーズの相性
チーズとドライフルーツの相性がいいのはご存じかと思いますが、スペインではジャムやメンブリージョなどと合わせるのも定番です。
塩気のあるチーズと、少し酸味が残るジャムやメンブリージョとの組み合わせは抜群です。
スペインでの定番のメンブリージョとチーズの組み合わせをご紹介します。
定番はケソ・マンチェゴと
スペインチーズと言って一番に思い出されるのが、ケソ・マンチェゴだと思います。
日本でも比較的手に入りやすい、スペインチーズの一つですよね?
若いものでは白く、熟成がすすむとアイボリーイエローに変化する表皮と、酸味のある匂いスパイシーな風味が特徴のスペインを代表するチーズの一つです。
メンブリージョと合わせることで、チーズのコクがさらに強く感じることができ、塩気と甘さの絶妙なバランスの虜になること間違いなしですよ。
ラ・マンチャ産のワインと合わせて、至福の時を味わってみるのはいかがでしょうか?
フレッシュチーズと合わせて極上デザート
メンブリージョはフレッシュチーズとの相性もGood。一緒に食べると、まるでチーズケーキのような味わいに。
スペインチーズだと、ケソ・デ・ブルゴスと合わせるのが一般的です。
ケソ・デ・ブルゴスは元々羊乳を使った、ブルゴス州の水気の多いフレッシュチーズですが、最近では羊乳のみで作られたものを見つけるのは大変です。
スーパーでも売られていますが、牛乳とブレンドされているものが一般的です。ブルゴスチーズと呼ばれるためには少なくとも5~10%の羊乳が含まれている必要があります。
もちろん、クリームチーズやマスカルポーネなどと合わせても美味しいです。ちょっと甘目のクラッカーやビスケットに乗せてどうぞ。
また、そのまま食べるだけではなく、フレッシュチーズとメンブリージョをパイ生地の中に入れて焼いたり、ケーキやタルトに入れるのも美味しいですよ。
ミルキーなスペインチーズとの組み合わせ
スペインのクリーミーなチーズ、トルタ・デル・カサールとの組み合わせもおすすめです。
トルタ・デル・カサールの強い香りと味、わずかな苦みとメンブリージョの甘さとわずかな渋みがマッチします。ねっとりとしたチーズと、メンブリージョのザラザラした口触りもクセになる食感です。
砕いたナッツとトーストを添えて、多彩な食感を楽しんでみてください。
トルタ・デル・カサールは、かなり強く個性的なチーズなので、苦手な方にはミルキーでマイルドなテティージャも。
テティージャは、牛乳から作られるガリシア地方のチーズです。外側は濃厚なミルクキャラメル、内側はこってりしたバターのような味わいです。
ミルキーなチーズとメンブリージョの組み合わせは、その食感とコクを楽しんでいただけると思いますよ。
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山羊チーズにチャレンジするなら
山羊チーズは独特の香りと酸味、その食感から、ちょっとハードルの高いチーズだと思います。
山羊チーズにチャレンジするなら、メンブリージョと合わせてみるのもアリです。匂いが多少緩和されるので、食べたいんだけど臭いが気になる方は、メンブリージョを多めにしてチャレンジされてみてください。
お好きな方には、ライ麦パンの薄切りに焼いた山羊チーズをメンブリージョの組み合わせがおすすめ。
黒コショウやタイム、エキストラバージンオイルを振りかければ、最高の前菜になります。
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ブルーチーズがまろやかに
ブルーチーズは、その塩気と尖った味が魅力なのですが、メンブリージョと合わせるととてもまろやかな味に変化します。
スペインチーズだとカブラレスという、羊乳から作られたブルーチーズがおすすめ。
メンブリージョの甘さと酸味が、ブルーチーズの余韻とコクをアップさせます。
日本でも入手しやすいものですと、羊乳から作られたロックフォールなどはいかがでしょうか?
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メンブリージョとワインを合わせるなら
メンブリージョとチーズの組み合わせは、それだけで完成された味わいになります。
ワインはあまり主張しない、すっきりとした白ワインやカヴァをお勧めします。
メンブリージョはスペインチーズに限らず、どんなチーズとも相性が抜群です。
お好きなチーズと合わせて、楽しんでみてはいかがでしょうか?