ロックフォールチーズは、イタリアのゴルゴンゾーラ、イングランドのスティルトンと並んで世界三大ブルーチーズと言われています。
ブルーチーズの中でも、チーズ好きには最も人気の高いチーズです。
ロックフォールは、フランスのチーズの代名詞とも言えるチーズで、フランスにおいても最古のチーズとも言われています。
その起源はとても古く、初めてロックフォールが生まれたのは2000年前とも言われている程です。
この名前の由来は、フランス南部ミディ=ピレネー地域にあるシュルスールゾン村にある洞窟。
この洞窟の名前がロックフォール(roquefort)なんですね。
その昔、羊飼いがチーズを洞窟に忘れていって、そのチーズに青カビが付着したのが始まりとされていますが、その説が定かかどうかはわかりません。
ロックフォールは、羊乳で作られる刺激的な風味と後味が特徴です。
青カビならではのピリリとした刺激と、羊乳を使ったクリーミーさ、バターのような濃厚さがチーズ好きにはたまらない風味なんです。
クセと塩気が強いので、今ではフランスでも苦手な人が多いのだとか。
ロックフォールは、パンから繁殖させた青カビを採取するところから始まります。
それをチーズに付着させ、洞窟内で熟成させる伝統製法は今でも守られているんです。
ロックフォールは洞窟でしか作れない?
出展:https://commons.wikimedia.or
ロックフォールは、先ほどもお伝えしたように洞窟内で熟成させる伝統的製法を守っています。
今の技術を使えば、洞窟内で熟成させないでもできるのでは?とお思いですよね?
確かに。
技術的に言うと、他の場所でも作ることが可能なんですが、この方法以外で作られたものはロックフォールと名乗ることはできないんです。
それは、フランスのAOC(原産地統制呼称)の指定を受けているチーズだから。
洞窟内で採取した青カビを使用し、洞窟内で発酵させる。それがロックフォールなんですね。
現在では人工培養された青カビ使用しているブランドもあるようですが、できれば伝統製法で作られたものを食べてみたいですよね?
ロックフォールチーズはどこで買える?
ロックフォールを作るのは時間がかかるだけでなく、専門技術も必要になります。
日本のスーパーでは、なかなかお目にかかれないチーズですよね?
海外でも贅沢品として高い値段で店頭に並んでいます。
日本で購入する場合は、専門店や通販なら簡単に見つけられると思います。
また、フランス料理専門店やワインバーなどで味わってみるのもいいですね。
通販で買える、ロックフォールの有名ブランドを集めてみました。
チーズ専門店が近くにない場合は、通販が便利ですね。
ロックフォール パピヨン
パピヨンの特徴は、その可愛いロゴとは異なる、男性的なロックフォールらしい力強くしっかりとした味わいです。
ロックフォールの中でもシェアは10%前後で多くないのですが、プロが好んで使う本格派チーズです。
オーガニック製法で作られたタイプもあり、羊に与える飼料にオーガニックで育てたものを与える、放牧する環境にも厳しい基準がある中育てられた羊のミルクを使用しています。
ナチュラル派だけでなく、オーガニックの違いを感じてもらいたい一品です。
ロックフォール カルル
カルルは、他のロックフォールに比べマイルドです。
手作業で一つ一つ丁寧に熟成させるので、個体によって菌の熟成度に違いが見られるのも面白いです。
鼻から抜ける強い青かびの刺激はほとんどなく、しっとりと優しい風味が特徴です。
無殺菌の羊乳を使った、粘り気とコク、強いミルクの風味、どっしりとした味と長い余韻をお楽しみください。
ロックフォール ダルジェンタル
ダルジェンタルはロックフォールの中でも大人しい感じ。
刺激や辛さはなく、クリーミーで濃厚なコクが特徴です。
ロックフォール好きな人にとっては、多少インパクトに欠けますが、初めてロックフォールをお試しする方にはオススメです。
ライ麦パンから採取した青カビで熟成させた、大きめの穴が特徴ですよ。
ロックフォールの保存の仕方
青かびタイプはとても光に弱く、ラップで包んでしまうと綺麗な青かびが変色してしまいます。
包まれていたチーズセロファンか、アルミホイルでしっかりと包んで冷蔵庫のチルド室で保管します。
買ったすぐは水分がしみ出てくることがあるので、キッチンペーパーでやさしくふき取りながら保存するとベスト。
水分をそのままにしておくと風味が悪くなるので、しみ出た水分は拭き取るようにしてくださいね。
青カビは繁殖力が強いので、他の食品にカビが移らないように注意が必要です。
水分が抜けてくると、硬く塩気もどんどん増してきます。
ねっとりとした食感を維持するには、十分な湿度と温度管理が必要です。
購入後は、なるべく早くお召し上がりになる方がいいかもしれませんね。
冷凍はできまずが、解凍するときに水分が流れ出てしまうので、もし冷凍する場合は20g程度の小分けにして、解凍せずに加熱して使用することをオススメします。
ロックフォールの美味しい食べ方
ブルーチーズの中でも特に個性的なロックフォール。
独特の刺激と酸味が苦手な人も多いと思います。でも、食べていると突然ロックフォールの美味しさに気づく瞬間が来る可能性も高いんです。
多くのチーズファンを魅了しているロックフォール、ブルーチーズがお好きならぜひ試していただきたいチーズです。
もし、最初に苦手だと感じるのであれば、甘いものと組み合わせてみることをオススメします。
また赤ワインとの相性が抜群なので、ワインと一緒に召し上がるとクセをあまり感じることがありません。
ロックフォールを美味しくいただくコツは、カットしたものを1時間以上かけて常温に戻すことです。
銘醸ワインと同じように室温に戻していただくのがポイントです。
ドライフルーツ・ハチミツと合わせて
オススメは、ドライフルーツ入りの固めのパンに乗せて。
ドライフルーツの甘み、ナッツの食感とロックフォールの塩気と滑らかさがとても合います。
また、塩気やクセを和らげるにはハチミツやジャムもオススメです。
バゲットにロックフォールを乗せ、ハチミツをかけると格別な味わいに。癖になる味なので、ぜひお試しくださいね。
また、無塩バターと一緒にバゲットに塗ると、ミルク感アップで食べやすいですよ。
料理・ソースの隠し味に
サラダやスフレ、パイなどの料理に使ったり、ソースの隠し味にしたりと料理にも活用できます。
ちょっと贅沢な使い方ですが、生クリームと合わせてパスタソースにしたり、ポテトサラダにアクセントとして加えるなど、料理が一味違ったものに仕上がりますよ。
生クリームでのばして、野菜のディップソースにするのも、ヘルシーおつまみとしては最高です。
ロックフォールチーズに合うワインは?
ロックフォールの塩気と刺激には、甘口のデザートワイン、ソーテルヌやジュランソンがオススメです。
ワインの甘さと塩気が絶妙なので、一度お試しくださいね。
また自然な甘さのポートやリヴサルト、モーリーなども相性がいいです。
重めのフルボディ、ほんのり甘さのある白ワインなどと合わせるのもいいですよ。
ロックフォールチーズの切り方
ロックフォールは組織がもろく崩れやすいです。
刃の薄いナイフか、ハンドリナーを使ってカットすると綺麗に切ることができます。
また、表皮は塩気が強いので、切り分ける際は表皮と内側を1ピースに入れるように放射状に切るのがベストです。
詳しいチーズの切り方やお役立ちアイテムはこちらでご紹介しています。
ロックフォールチーズの作り方
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ロックフォールの原料は羊のミルク。
ラコーヌ種、マネッシュ種、バスコ・ベルネーズ種が使用され、その中でもラコーヌ種が最も多く使用されています。
産後、赤ちゃんに1か月ミルクを飲ませ、その後のミルクを使用してロックフォールは作られます。
使用される青カビは、洞窟内で採取されたペニシリウム・ロックフォルティ。
このカビを繁殖させてチーズの熟成に使います。
このコンバール山の洞窟は、石灰岩の岩山でたくさんの亀裂があり、その亀裂からフルリーヌと呼ばれる風が入り込みます。
この風のおかげで、1年を通して洞窟内はチーズの熟成に最適な温度とされる9℃、湿度90%以上に保たれています。
- 温めた羊のミルクに採取した青カビとレンネット(凝乳酵素)を加え、その後ホエイ(乳清)を除去すると、カードができます。
- そのカードに、青カビを加えて小さな穴が開いた型に詰めます。
- この型を反転させ、ゆっくりと余分な水分を取り出していきます。
- 型から出し塩を加えた後、金串を使って空気孔を開け、洞窟内で熟成させます。
- チーズに青カビがほどよく繁殖したら、金属箔で包んで最低でも3か月間熟成させ完成させます。
古い伝統と歴史を受け継いでいるロックフォール。
その刺激とカビ、羊乳の香り、ねっとりとした食感に魅了されたチーズファンは多いです。
まずはチャレンジ。いつの間にかロックフォールの魅力の虜になっているかもしれませんよ。