スペインワインは現在7つのランクカテゴリーに分けられています。
あなたが今手にしているスペインワイン、どのランクで、そのランクがどのようなものなのか、少し見てみませんか?
スペインワイン格付けの歴史
3000年以上のワイン製造の歴史を持つスペインですが、ワイン規制が行われたのは18世紀が初めて。
大航海時代になり、諸外国から低品質のワインが輸入され、国内ワインの品質が悪くなってしまったため、政府がスペインワインの品質保護のため、管理を行ったんですね。
1920年代に新たに規制が強化され、「原産地呼称制度」が確立しました。
これはワイン造りで優れた産地を指定する制度で、最初にリオハが、次にヘレス、マラガが指定されました。
1975年フランコ政権の終わりと共に、スペインワインの品質はぐんと良くなりました。
量産されていた低品質ワインの生産が減り、高品質のワインが増え、世界的にも評価を得るようになったんです。
70年代には「ブドウ畑・ワイン及びアルコールに関する法令」が制定され、各地に設けられた原産地呼称統制委員会(Consejo Regulador)の厳しい条件にクリアする生産地がDO(Denominación de Origen)に認定されました。
DO(デノミナシオン・デ・オリヘン)は、日本語にすると「原産地呼称制度」。
平たく言えば、ワインがいつ・どこで・誰によって・どのようにして作られたのかがわかる制度です。
地域内で許可されたブドウ品種を使い、ブドウ栽培面積・栽培品種・植樹密度・酒造法・アルコール度数、官能試験検査・・・など厳しい審査を通過したワインのみが、DO(原産地呼称)ワインとして認められているんです。
現在、そのランク付けは7つのカテゴリーに区分されています。
それとは別に、2009年8月に改正されたEUのワイン法で、新たな格付けが制定されました。
保護原産地呼称(DOP:Denominación de Origen Protegida)
品質・特性が生産地域特有であること、かつ原料のブドウは100%その地域内で栽培、醸造もその地域で行われるもの。
保護地理的表示(IGP:Indicación Geográfica Protegida)
地理的由来の品質・評価・特性があり、原料のブドウは85%以上がその地域内で栽培、醸造もその地域内で行われるもの。
このEUワイン法がありながらも、スペイン独自の格付けの使用も認められています。
スペインワイン7つのランクって?
保護原産地呼称(DOP)に相当する格付けはVP・DOCa・DO・VCIG、
保護地理的表示(IGP)に相当するものはVdlTとなっています。
【VP】Vino de Pago
ヴィノ・デ・パゴ(単一ブドウ畑限定ワイン)
一つの村で、他とは際立った違いがある土地上畑から生産される、上質で個性的な高級ワインがこのカテゴリーに認定されています。
カスティーリャ・ラ・マンチャ政府が訴え続けてきた格付けで、国際品種のブドウを生産している畑も対象とされるようになりました。
現在は17のエステイトが指定されています。
カスティーリャ・ラ・マンチャ
- Pago Calzadilla (Cuenca)
- Campo de la Guardia (Toledo)
- Dominio de Valdepusa (Toledo)
- Casa del Blanco (Ciudad Real)
- Dehesa del Carrizal (Ciudad Real)
- Pago Florentino (Ciudad Real)
- Finca Élez (Albacete)
- Pago Guijoso (Albacete)
アラゴン
- Pago de Aylés (Zaragoza)
ヴァレンシア
- Finca El Terrerazo (Valencia)
- Pago Chozas Carrascal (Valencia)
- Pago Vera de Estenas (Valencia)
- Los Balagueses (Valencia)
ナバラ
- Pago de Arínzano
- Pago de Otazu
- Prado de Irache
- Pago Finca Bolandín
【DOCa】Denominacion de Origen Calificada
デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカダ(統制保証付原産地呼称ワイン)
DO認定から少なくとも10年以上は経過したワインの中から、厳しい審査で昇格が認められた高品質ワインです。
最初にリオハが1991年に認められ、次にプリオラート、リベエラ・デル・ドゥエロが承認されています。
【DO】Denominacin de Origen
デノミナシオン・デ・オリヘン(原産地呼称ワイン)
現在76の地方がこのランクに所属し、スペインで生産されるワインの2/3を占めます。
ラベルにはDenominación de Origen 地方名と表示されています。
【VCIG】Vino de Calidad con Indicación Geográfica
ヴィノ・デ・カリダッ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ(地域名称表示付きワイン)
特定の地域・地区などで収穫されたブドウを原料として、醸造熟成されたワインです。DOほど厳格でない規制ですね。
5年間このカテゴリーを保持できた場合は、DOへの申請許可が下ります。
【VdlT】Vino de la Tierra
ヴィノ・デ・ラ・ティエラ(カントリー・ワイン)
スペインには現在42の指定された地域があります。
ラベル表記は、Vino de la Tierra de 地方の名称となります。
Vino de España
ヴィノ・デ・エスパーニャ(スペイン・ワイン)
2006年に新たに制定されたカテゴリーで、プラスチック容器にも詰めることができますが、一部の地域では使用が禁止されています。
低品質の輸入ワインと区別されるために制定されました。
Vino de Mesa
ヴィノ・デ・メサ(テーブル・ワイン)
格付けされていない畑で生産されたワイン、異なる地域で作られたワインをブレンドしたものなどの名称です。
一般的には大量生産されるワインのことです。
地域名・ブドウの品種・収穫年などの表示はありません。
スペイン国内での生産は減少し続けています。